殺人死体遺棄で懲役20年と無期懲役判決の凶悪(2)

前回記事の訂正を先に書いておきます
後藤明弘受刑者の事件で、岐阜県内で長瀬まゆみさんを殺害した件を懲役20年と記述していましたが、控訴審で減刑され懲役12年で確定しています(検察の求刑は懲役15年)
殺害し、遺体を切り裂いてその写真を撮り、道路脇に埋めたという犯行にもかかわらず、懲役12年とした控訴審判決は、どうにも納得ができない妙な判断です。犯行の態様としては先のベトナム人女性殺害事件と同じなのにかたや無期懲役で、長瀬さん殺害は懲役12年と差がついてしまっています。裁判所が常々口にするところの「法の公平さ」に反しています
控訴審の判決文を探したものの見つからないので憶測になってしまうのですが、思うところを書きます。まずは一審岐阜地裁の判決では、「遺体の写真を撮影するなどし悪質」などと求刑を上回る量刑の理由を説明しています。これはベトナム人女性殺害が無期懲役の求刑で、長瀬さん殺害が懲役15年の求刑であったため、2つの事件でバランスを取るため長瀬さん殺害の判決に5年を上乗せした裁判官の判断、と考えられます
しかし、高裁の判事は求刑を上回る一審判決に否定的であり、これを是正したと考えられます
さらに、被害者と被告の関係です。ベトナム人女性と後藤被告には接点がなく、完全に事件に巻き込まれてしまった格好です。しかし、長瀬さんは後藤被告と同じコンビニエンスストアの店員として働いており、事件当日は後藤被告と高山市内へ車でデートへ行って、その帰りに口論となり殺害されたという経緯があります。長瀬さんは既婚者で、後藤被告と不倫関係にあったのかどうかは不明ですが、そうした男女の関係を織り込んだ上で懲役15年の求刑であり、懲役12年の判決だったとも考えられます(つまり、被害者の側にも殺害される理由・事情があったと、暗に検察や裁判所が考えていた…のかもしれません)
が、以上はあくまで私見です。しかし、そうとでも考えないと無期懲役と懲役12年の差の説明ができません
さて、事件の裁判に触れた週刊実話の記事の続きです


(前回の続き)
もっとも、後藤は「なぜそんなことをしたのか分かりません」「内臓を見たいと思ったこともないし、性的興味を感じたこともありません」と、自身の性癖を否定している。研究が進んだ海外では報告例が多いが、ネクロフィリア(死体性愛者)は幼少期から孤独で、恐ろしい事件を起こして捕らえられても、かつての教師やクラスメートは彼をほとんど覚えていないことが多い。「あまり人と付き合わず、問題を起こしたこともない」という印象だ。
後藤もこれと全く同じなのだ。幼い頃を知る近所の人たちは「大人しくて礼儀正しい子だった」と口をそろえ、中学時代の同級生は「2クラスしかなかったのに、ほとんど印象にない」と話す。
「からかわれても、怒って向かってくるようなタイプじゃない。ひたすら耐えて黙っているような奴だった。年下からも『ガンキン(ばい菌の意味)』と呼ばれ、バカにされていた。高校時代は不良たちのパシリにされていたと聞いている」
その鬱憤を晴らすため、異常な空想を積み重ね、犯行に駆られたのだろうか。
(週刊実話の記事から引用)


表現は角が立たないようになっていますが、後藤受刑者はいじめの標的とされていたのでしょう。下級生からもバイ菌呼ばわりされるくらいで、屈辱を忍びながら中学3年間を過ごし、さらに高校進学後も不良たちのパシリにされ、たかられていたと推測されます
そんな状況を後藤受刑者は何を考え、どう受け止め、生きたのか?
記事の末文にあるように、異常な空想を積み重ね、他者を陵辱したり蹂躙する側としてあれやこれや思い浮かべて過ごしたのかもしれません
想像するに、2つの事件は殺害と遺体を切り裂き、内臓を弄ぶ行為に留まらず、屍姦も含まれていたのではないか、と思います
長瀬さんの場合は白骨化した遺体で発見されていますので、後藤受刑者が遺体に何をしたのかはっきりしません(遺体の性器や内臓を写真に撮っていた、とは報じられていますが)
それでも後藤受刑者は「内臓を見たいと思ったこともないし、性的興味を感じたこともありません」と述べています。自覚がないのか、あるいは己の性癖と向き合うのを拒否しているのか?
ですが、遺体を撮影したデータの保存された携帯電話を捨てずに所持し続けていたのですから、完全に無自覚という可能性はないはずです
まぎれもなくその撮影データは勝利の証であり、大切な戦利品だったわけですから

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山梨の介護施設で強姦殺人 丹沢被告とは

一昨日は岐阜の老人介護施設における小鳥剛被告の5人殺傷事件を取り上げました
今日は山梨県南アルプス市の老人介護施設で起きた殺人事件に言及します。介護施設での殺人、あるいは虐待事件がしばしば起きているのですが、今のところは性善説(介護に携わる職員は善人、という前提)があって、なかなかすんなりとは事件化されないようです
ただ、介護施設に入所している高齢者が自傷行為をしたり、自殺を企てる可能性は極めて低いのでしょうから、介護職員を疑うのは決して理不尽なものではありません
施設側が対面を優先し、事件化を妨げたり、隠蔽するようなことがあってはなりません
それでは本題の、丹沢一貴容疑者の送検と起訴を伝える記事を2つを貼ります


山梨県南アルプス市の老人ホームで入所者の樋口慶子さん(80)が殺害された事件で、山梨県警は7日、死因は首を圧迫されたことによる窒息死と発表した。捜査関係者によると、殺人容疑で逮捕された同施設職員の丹沢一貴容疑者(42)(市川三郷町上野)は、「排せつの介護をする際にトイレで首を絞めた」と供述しているという。
発表によると、丹沢容疑者は5日午後5時半~6日午前0時頃、同市曲輪田の老人ホーム「わたぼうし」で、樋口さんを殺害した疑いが持たれている。丹沢容疑者は夜間、1人で勤務していた。
捜査関係者によると、丹沢容疑者は「入所者に暴言を吐かれ、言うことを聞いてくれないことがある」など、介護の仕事に不満を持っていた旨の供述をしている。司法解剖の結果、ひもなどの道具が使われた形跡はないという。
また、県警は7日朝、丹沢容疑者を殺人の疑いで甲府地検に送検した。
(読売新聞の記事から引用)


山梨県南アルプス市の有料老人ホームで、入所者の80歳女性が死亡しているのが見つかった事件で、甲府地検は26日、殺人容疑で逮捕された同施設の介護士、丹沢一貴容疑者(42)=市川三郷町上野=を強制性交等致死罪で起訴した。
起訴状によると、8月5日午後9時50分ごろから同11時半ごろまでの間、施設内のトイレで女性の首を腕で絞め付けるなどして暴行を加えて強制的に性交し、窒息死させたとしている。
地検は「証拠を総合的に検討した結果、殺意の立証は困難だった」として、罪名を切り替えた。認否は明らかにしていない。
県警によると、丹沢被告は5日、1人で夜勤を担当。女性が亡くなったことを自ら施設長に知らせ、施設長が110番通報した。遺体は発見時、居室のベットの上であおむけの状態だった。女性は歩くのが難しく、介助なしでは生活できなかったという。丹沢被告は当初、首を絞めたことは認めていたが、殺意については曖昧な供述をしていた。
女性の遺族は26日、「これまでの楽しく過ごした母の人生を、最後の最後に台無しにされた思いです。加害者は裁判の中では本当のことを話してもらいたいと思っています」とのコメントを発表した。
(毎日新聞の記事から引用)


毎日新聞の記事では「首を絞めたことは認めていたが、殺意については曖昧な供述をしていた」と書かれていますが、別の報道では警察官の話として「黙秘している」と伝えています
想像するに、「自分の刑罰がどのくらいになるのか」ばかりを気にし、供述どころではないのでしょう。罪の大きさを認めたくない、との心理が働いているとも解釈できます
前にもブログで書きましたが、強盗致傷という重罪にもかかわらず「どうしたら執行猶予がつくのか」とそればかり考えている被告人も珍しくありません。本件では被害者が死亡していますので執行猶予付き判決などありえず、必ず実刑が科されます(最高刑は無期懲役もあります)
そうした量刑の相場を弁護人から聞いてもなお、「(過去の類似した事件で)一番軽い刑でどれくらいか」などとしつこく尋ねたりします。自分もそうなりたい、とはかない期待にすがるわけです
記事を読む限り、情状を考える理由・事情が丹沢被告にあるとは思えません。被害者女性に認知症の症状があったようにも推測できますが、それが情状として反映されるはずはありません。犯行の場は老人介護施設であり、高齢者には多かれ少なかれ認知症の症状があるわけですし、丹沢被告は介護のプロなのですから
ただし、衝動的な犯行であり計画性がないとなると、裁判官も重い刑罰を科すのをためらうでしょう
あるいは弁護人が、丹沢被告が女性の死亡を施設管理者へ通報した行為を、「自首につながる」ものとして罪一等を減じるよう求めるかもしれません。完全な自首ではありませんので、減刑理由には該当しないと承知していても、「そこを斟酌しろ」と
検察官は本件が、「かっとなって殴ったら死んでしまった」という単純な暴力事件ではなく、強姦までしているのを重視し、懲役18年くらいは求刑するのかもしれません

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