「教員による児童生徒への性暴力」規制法で本腰

教員による児童・生徒へのわいせつ事件が報じられない日がないほど、連日あちらこちらで事件が起きています
その都度、教育委員会の担当者が「二度とこのようなことがないよう綱紀粛正を図る」とか、「研修に力を入れる」などと繰り返すわけですが、改善しているとは言い難い状況です
政府は「教員による児童生徒性暴力防止法」を成立させ、来年4月から施行させる方針ですが、本腰を入れた対策となるのでしょうか


5月に成立した新法「教員による児童生徒性暴力防止法」に基づき、文部科学省が策定した「基本指針案」の全容が明らかになった。子供へのわいせつ行為で教員免許を失効した元教員が免許を再取得しようとする場合、更生したことを証明する書類の提出を求める。失効者の40年分の処分情報をデータベース化するなど、教員としての現場復帰が極めて難しくなる見通しだ。
指針の決定後、来年4月1日に新法を施行する。データベースは2023年4月に稼働させる予定だ。
冒頭、指針案では「児童生徒を性暴力の犠牲者とさせない断固たる決意」を掲げ、教育委員会や学校法人、学校が取るべき具体的な対応を示している。
指針案の柱となるのが、免許失効者への再交付の可否を判断する仕組み「再授与審査」だ。現行では性暴力で懲戒免職・解雇されても、3年たてば免許を再取得できる。だが、新法施行後は都道府県教委が新設する再授与審査会の判断を求めることになる。
その際、再交付に支障がないことを立証する責任を元教員に負わせ、「再び性暴力を行わないことの高い蓋然性を証明する」書類の提出を求めている。
具体的には、更生プログラムの受講歴や医師の診断書、復職を求める保護者らからの嘆願書、被害者への謝罪、損害賠償などの書類を例示した。さらに、医療や心理、福祉、法律の専門家らで構成される審査会で、委員の意見が原則、全会一致しなければ再交付を認めないとしている。
新設するデータベースには、子供への性暴力で免職となった元教員の名前や処分内容の情報を少なくとも40年間分蓄積する。これまでには、処分歴を隠すために改名し、別の教委で採用された例もあるため、改名前の氏名での検索も可能とする。都道府県教委に対し、法施行前の処分情報も入力してもらい、採用時の活用を義務付ける。
このほか、わいせつ行為をした教員への懲戒処分を行わず、依願退職させることも禁じている。
文科省は近く基本指針案を公表する。パブリックコメント(意見公募)を経て、来年2月頃に決定する考えだ。
現行法の「穴」に高いハードル
文部科学省の基本指針案は、教員の立場や信頼を悪用し、子供たちを傷つけることを決して許さないという強い姿勢を示している。
現行法では、児童生徒らへの性暴力で教員免許が失効しても、3年たてば再取得できる。指針案ではその「穴」に対し、再交付を申請した元教員本人に「再び行う可能性は全くない」ことを客観的に立証させる高いハードルを設けている。
わいせつ教員を巡る一連の問題では、教員からの性暴力によって、心に深い傷を負い、大人になっても苦しみ続ける被害者の姿を見た。わいせつ行為に及ぶ教員は全体のごく一部だが、1人の子供も被害に遭わせてはならない。
(読売新聞の記事から引用)


性犯罪で処分を受け教員免許失効となった者のうち、どれだけの者が再交付を申請し、交付を受けているのが実情が記事には書かれていません
ただ、教員免許の再交付を受けた後に教員あるいは非常勤講師として採用され、再び性犯罪に至るケース自体、さほど多いわけではないでしょう
むしろ、性犯罪で処分を受けたことのない教員が新たに性犯罪に走るケースが圧倒的に多いのであり、そこをどうするかが課題です
教員免許の再交付云々が、教員による性犯罪防止策の中心にあるかのような考えは間違いです
以前にも指摘したように、校長や教頭が学校内を巡回し、個々の教師が児童・生徒にどう接しているか見る機会は驚くほど少ないのであり、いわば教育現場を教師に丸投げしている状態です。これでは性犯罪も体罰も防げません
これは「教師の授業のやり方に干渉しない」とか、「現場の教師を信頼している」などとして、さも好ましい状況のように言われるのですが、自分は大いに疑問です
だとしても、学校内に教員以外の部外者を介入させるのを教育関係者は極端に嫌がりますので、オンブズマンのような第三者を常時校内に置くのは不可能でしょう
が、教員以外の目による監視が絶対に必要であると書いておきます(教室や廊下などにビデオカメラを設置して監視、というのは実効性のある措置ではありません。リアルタイムで監視映像をチェックしている者がいないのではダメです)
日本教職員組合(日教組)のホームページを見る限り、原発稼働に反対とか朝鮮学校の無償化をせよとか、メッセージが並んでいる一方、教員による性犯罪続発の現状に対しては何のメッセージも発していません。性犯罪はあくまで教師個人の犯罪であって、教員組合は知らん顔…というのが実情です

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大阪ビル放火殺人 谷本容疑者の素性

大阪の心療内科のクリニックに放火した事件では、谷本盛雄容疑者(61)による犯行の可能性が高いと報じられています。谷本容疑者は現場から救急搬送で入院していますが、重態だとされ、このまま死亡するのかもしれません。多くの人が犠牲になった衝撃的な犯行でありながら、犯人は罰せられないまま死亡という結末を迎えそうです
文春オンラインが谷本容疑者の素性を記事にしていますので、一部を抜粋します


男は意識不明の重体で大阪市内の病院に入院
「火をつけたとみられる男は、現在大阪市内の病院に入院しています。死んではいないが意識不明の重体。年齢は61歳で、このクリニックの診察券を持っていたことから患者の一人だったことが分かっています」(捜査関係者)
男の住む同市西淀川区の自宅では、火災事件の約30分前にぼや騒ぎが起きていた。事件担当記者は「男の住む部屋から煙が上がり、1時間あまりで消火されました。自宅についても放火の疑いが持たれています」と解説する。府警と消防は、18日午前、男の自宅の実況見分を始めた。
男が住んでいたのは古びた3階建ての戸建て。直前にボヤ騒ぎがあったこともあり、壁は煤けていた。
「近所付き合いがほとんどなかったようで、近隣の住民はまったくどのような男だったのか把握していません。かつて結婚はしていたようですが……」(事件担当記者)
男が起こした衝撃の事件「玄関に血溜まりが…」
取材班が、男の元妻が住んでいるというマンションに足を運ぶと衝撃的な話を聞くことができた。近隣の女性住民はこう証言する。
「元々近所付き合いがない方々でしたが、やはり10年くらい前に起きた“あの事件”が気まずいんとちゃいますかね。事件の数年前になるんかな、父親以外の3人で15年ほど前に越してきました」
この近隣住民によると、女性と息子2人の一家だったようだ。父親である男が同居していたかは不明。近隣住民は姿を見たことはなかったという。
「私の息子が見たんですけど、ある日、朝方に警察の方がたくさんいたことがあったそうなんです。しかもあの部屋の玄関が空いていて、中を見ると血溜まりができてたって。親子トラブルで、お父さんが息子さんを刺したそうなんです」(近隣女性)
別の近隣住民の男性も「血まみれの部屋から男性が救急車へ運ばれてた」と約10年前の事件の状況を振り返る。
「刺されたのは2人の息子さんのうち、お兄さんの方。どうやらお兄さんが働くか働かないかで揉めたのが原因やったと聞きました」
当時の報道によると、男は長男の頭部などを包丁で刺したとして、殺人未遂容疑で逮捕。別居していたとみられる男が、妻と息子の住む部屋へ来て食事、飲酒し、酔った勢いでかばんに入れていた包丁で刺したという。
何が男をそんな凶行に駆り立てたのだろうか。当時の裁判を知る関係者にも取材することもできた。
「2008年秋頃に男は離婚し、ひとり暮らしを始めています。しかしひとり暮らしの寂しさが募り、翌年に元妻へ復縁を申し込むも失敗。孤独感が深まり、次第に自殺を考えるようになったそうです。しかし1人で死ぬのは怖かった。そこで、“働かず元妻に迷惑をかけている”という理由で長男を道連れにしようという考えに至ったようでした」
その後、男の心情は移り変わり、「家族は一緒でなければならない」という理由から、元妻や次男も道連れにすべきだと考えるようにもなった。そこで男は2011年4月、ついに実行に移す。
長男と酒を酌み交わした後、頭部に包丁を振り下ろした
「長男から家族みんなで遊びに行こうと誘われ、家族が一堂に会すことがあったんです。男は日中、家族と一緒に過ごし、その後に『寿司を買ってるから』という理由で元妻の家に上がり込みました。その際、包丁を数本、鞄に忍ばせていますが、まだ無理心中に対してはためらいがあったようです。
しかしその後に長男と2人で酒を飲み交わした。どんな話をしていたかはわかりませんが、酒の勢いも手伝ってか、明け方6時頃に長男に切りかかったのです」(同前)


谷本容疑者は逮捕され、裁判では「孤独によるうつ病といった精神疾患などを原因に減刑」を求めたようですが、裁判官は「仕事を辞めたにも関わらず、金を競馬に費やして自身の生活費にも困るような状態に陥り、さらに自身の行いが招いたことを打開するために、家族を犠牲にするのは『家族に対する甘え』である」懲役5年の判決を下しています
出所後、谷本容疑者は現場となった心療内科へ通院するようになったと思われます
なので、最初は長男を道連れに死のうと事件を起こし、今回はクリニックの医師や臨床心理士、患者をも巻き込んで死のうとしたのでしょう
迷惑な限りです
以前にも取り上げたように、こうした無差別殺人を精神科医は「拡大自殺」と呼びます。自分一人だけでは死ねず、無関係の人まで巻き込んで死のうという行動です
誰がこうした「拡大自殺」を企てるのか、事前に察知するのは困難であり、防ぎようがありません。「二度とこのような事件が起きないよう」と口にすることはできても、実効性のある対策を講じるのは無理がありまります
巻き込まれた方とその家族の無念さはいかばかりかと思います。実に理不尽な犯行です

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